木村克己税理士事務所

相続税基本税理士報酬0.4~0.6%・贈与税基本税理士報酬1% 等 詳細は当HPに公開中・土地評価実績多数・オンライン面談歓迎



(質問)贈与税の課税方法である「暦年課税」と「相続時精算課税」についての概要を教えてください。また、暦年課税では特例贈与財産用と、一般贈与財産用の速算表に分かれるようですが、より有利な特例贈与財産用が適用になるための要件や適用のために提出する書類を教えてください。


(質問)贈与税の課税方法である「暦年課税」と「相続時精算課税」の概要。「暦年課税」において特例贈与財産用の速算表が適用になるための要件や提出書類が知りたい。

贈与税の課税方法には、「暦年課税」と「相続時精算課税」の2つがあります。また、一定の要件があれば「相続時精算課税」を選択することができます。「暦年課税」については適用に当たって特に手続きは必要ありませんが、「相続時精算課税」については、適用するにあたって、所轄税務署に相続時精算課税選択届出書の提出等、一定の手続きが必要です。
 なお、令和5年度税制改正において➀相続開始前の暦年課税贈与についての相続財産への加算期間の延長(3年から7年への延長)、➁相続時精算課税制度への基礎控除110万円の導入等が行われました。※この改正は令和6年1月1日に行われました。
以下に、暦年課税の概要をまとめます。

1 暦年課税の概要
 暦年課税の贈与税は、個人が1月1日から同年12月31日までの1年間に贈与を受けた財産の合計額から、基礎控除の110万円を控除した残額に対してかかるものです。
 したがって、1年間に贈与を受けた財産の総額が、110万円以下であれば贈与税は掛かりませんし、贈与税の申告は不要です(相法21の2、21の5、21の7、措法70の2の4)。
なお、複数の者から同年中に贈与を受けた場合には、各贈与者から受贈した財産をすべて合算した金額に110万円の基礎控除が適用になります。

 申告と納税は、財産贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までに行うことになります。なお、申告期限・納期限(3月15日のこと)が、土曜日、日曜日、祝日等の場合には、その翌日が提出期限となります。

【計算例】
 父から500万円、母から500万円の贈与があった。受贈者は子(年齢は21歳)
➀贈与財産の価額 合計1,000万円
➁贈与税額の計算 (1,000万円-110万円)×30%-90万円=177万円

(速算表)
〇特例贈与財産用

区分200万円以下400万円以下600万円以下1,000万円以下
特例税率10%15%20%30%
控除額10万円30万円90万円
区分1,500万円以下3,000万円以下4,500万円以下4,500万円超
特例税率40%45%50%55%
控除額190万円265万円415万円640万円


特例贈与財産用は、18歳以上の者が直系尊属から贈与を受けた場合に適用されます。なお、この18歳であるか否かの判断は、贈与の年の1月1日現在において判断します。贈与時の年齢ではありませんので注意を要します。

速算表
〇一般贈与財産用

区分200万円以下300万円以下400万円以下600万円以下
一般税率10%15%20%30%
控除額10万円25万円65万円
区分1,000万円以下1,500万円以下3,000万円以下3,000万円超
一般税率40%45%50%55%
控除額125万円175万円250万円400万円

2 「特例税率」適用のための手続き
 「特例税率」の適用を受ける場合で、次の➀又は➁のいずれかに該当するときは、贈与税の申告書とともに、受贈者の戸籍の謄本又は抄本その他の書類でその人の氏名、生年月日及びその人が贈与者の直系尊属(子や孫)に該当することを証する書類を提出する必要があります。

 但し、過去の年分において同じ贈与者からの贈与について「特例税率」の適用を受けるために当該書類を提出している場合には、申告書第一表の「過去の贈与税の申告状況」欄に、その提出した年分及び税務署名を記入すれば、当該書類を重ねて提出する必要はありません。
➀「特例贈与財産」のみの贈与を受けた場合で、その財産の価額から基礎控除額(110万円)を差し引いた後の課税価額が300万円を超えるとき

➁「一般贈与財産」と「特例贈与財産」の両方の贈与を受けた場合で、その両方の財産の価額の合計額から基礎控除額(110万円)を差し引いた後の課税価額が300万円を超えるとき 

※基礎控除額(110万円)を差し引いた後の課税価額が300万円を超えるときに、贈与税の申告書とともに、受贈者の戸籍の謄本又は抄本その他の書類でその人の氏名、生年月日及びその人が贈与者の直系尊属(子や孫)に該当することを証する書類の提出を求めている理由は、「300万円を超える」ところが、速算表の特例贈与財産用と、一般贈与財産用が分れる分岐点にあたるからと考えられます。


 


PAGE TOP