
(ご回答)相続時精算課税の贈与を行う際には、110万円の基礎控除を控除し、その後2,500万円の特別控除額を控除した残額に対して贈与税が掛かりますが、この特別控除は贈与税の期限内申告書を提出する場合のみ行うことができます(期限後申告では特別控除は認められません)。前年以前にこの特別控除の適用を受けたことがある場合には、2,500万円からその金額を控除した残額が、その年の特別控除限度額になります(相法21の9、21の11、21の12)。
それから、贈与者の要件は贈与した年の1月1日において60歳以上の者ですが、特例があります。それは贈与による住宅取得等資金の取得をした場合、贈与者の年齢がその年の1月1日において60歳未満であっても、一定の要件を満たせば相続時精算課税の適用をうけることができます(措法70の3)。
なお、この特例の適用を受けた後、同じ贈与者から贈与を受けた財産については、たとえ贈与者がまだ60歳未満であっても、全て相続時精算課税の適用をうけることになります。つまり、一旦この制度の適用を受けると贈与者の年齢に関係なく相続時精算課税が適用になるということです。
それから、受贈者が外国に居住している場合についても、相続時精算課税の要件を満たしているときは、贈与について相続時精算課税の適用を受けることができます(相法21の9①)。
国外財産の贈与についても相続時精算課税の適用を受けることができます。その場合、贈与の計算上、国外財産に対する外国税額を控除することができます(相法21の8、21の9、21の11)。
また、贈与者に相続が発生した場合に、相続税額から控除する贈与税額は、外国税額を控除する前の税額となります(相法21の15③、21の16➃)。
なお、ご存じのとおり令和5年度税制改正により、相続時精算課税について基礎控除(110万円)が新たに設けられ、基礎控除を超えている部分が相続財産に合算されて相続税を計算することになります(相続税から納付済みの贈与税額は控除されます。)。
また、相続発生で相続税に加算される贈与財産額から基礎控除分(110万円)が控除されます。