(質問)父700万円、母300万円の贈与があった際の翌年相続時精算課税の贈与税申告をする際の計算の仕方。基礎控除、特別控除はどのように計算されるのか。さらに全額が父からの贈与であって3,000万円の贈与であった場合の計算はどうなるのか。

(回答)110万円の基礎控除は、贈与額の比率で按分します。
特別控除は、期限内申告である場合に適用され、贈与者毎に2,500万円の範囲内で適用できます。
(解説)相続時精算課税適用者が、年中において特定贈与者(相続時精算課税の対象となる贈与者。今回の父と母は対象。)から贈与により財産を取得した場合で、同一年に複数の贈与者から贈与を受けた場合の計算は、110万円の基礎控除額をそれぞれ贈与を受けた財産の価額に応じて按分します(相法21の11の2②、措法70の3の2③、措令40の5の2)。具体的には以下のとおり。
父からの贈与における基礎控除
110万円×700万円/700万円+300万円=77万円
母からの贈与における基礎控除
110万円×300万円/700万円+300万円=33万円
特別控除(2,500万円)の適用について
特別控除は、贈与税の計算上、特定贈与者毎の贈与税の課税価格(基礎控除を除いた額)から、それぞれ次に掲げる金額のうち、いずれか低い金額が控除されます(相法21の12①)。
① 2,500万円(既にこの特別控除を適用し控除した金額がある場合には、その金額の合計を控除した残額)
② 特定贈与者ごとの贈与税の課税価格
本問ケースでは、下記の計算によります。
父からの贈与の特別控除額
700万円ー77万円(基礎控除額)=623万円 623万円<2,500万円 ∴623万円
母からの贈与の特別控除額
300万円ー33万円(基礎控除)=267万円 267万円<2,500万円 ∴267万円
税額など
特定贈与者から贈与により、財産を取得した場合、特定贈与者ごとに計算した贈与税の課税価額(基礎控除額の残額)から、特定贈与者ごとに計算した特別控除の額を控除した金額に、20%の税率を乗じます。
なお、今回は特別控除の範囲内であるため、贈与税額は発生しません。
(参考)
なお、今回のケースで借りに全額父親からの贈与であって、贈与額は3,000万円であった場合の計算をしてみます。
3,000万円ー110万円(基礎控除)ー2,500万円(特別控除)=390万円
390万円×20%(税率)=78万円
78万円の贈与税が発生します。
