
不動産賃貸業・事業承継サポートの概要
アパート等の経営を子供に引き継ぎ、さらに不満の少ない相続を実現するためには事前の工夫が必要になります。
長年経営してきたアパートには、顔見知りの店子がいますので、これまでどおりに、アパート経営を継続してほしいなどと、考えていることも多いようです。しかし、子供全員に、何らかの事業用資産を均等に分けることも難しいです、
相続人間で不満が生じる原因は、一部の相続人のみが事業用資産を受け取ることにあります。 賃貸用のアパートやマンションは、他の事業の事業用資産と比べると、換金性が高い資産ですから、なおさら不満は募ります、
そのため、不動産賃貸業の事業承継にあたっては、賃貸用アパート、賃貸用マンション等の事業資産を引き継ぐ相続人と、事業を引き継がない相続人間の公平性については、特に留意する必要があります。相続人は、相続人間の公平性に対して特に敏感です。
そのために相続時精算課税による生前贈与、公正証書遺言書による遺言そして、生命保険の活用による受取額の微修正による、公平性の確保を組み合わせて、相続税額を極力抑える相続税対策をしながら、相続人それぞれの相続税の納税資金の準備まで考慮した、円満な相続の実現の方法をお伝えします。
例えば現事業主が元気なうちに、財産の一部(現預金等)を、事業承継しない子(但し、予定相続人である人)に、相続時精算課税による贈与でまとまった現預金の贈与を行い(贈与税額ゼロの範囲でも、基礎控除と特別控除を全て使い、期限内申告で2,610万円までの高額の贈与が贈与税ゼロで実行可能です。)、そのうえで、「遺留分の放棄」を依頼したら、いかがでしょうか。法的な手続きを依頼するなど、家族間でもめ事の種になる、とお考えの方でも、是非ご一考ください。
この手続きをして置くと、大きな争いの芽を摘むことができます。
つまり、何も貰わずに遺留分の放棄に応じてくれる相続人は、ほぼいないと思いますが、子育て、ローン支払い中などで資金需要がある若い世代にとっては、生前贈与は受けられるならば受けたいと考えています。こうしたニーズを活用することで、事業に参画することがない相続人の現時点の不満を解消し、事業に参画する予定の相続人の将来の不安も、解消させられるというものです。
なお、「遺留分放棄」ではなく、事前に「相続の放棄」を求めたらいいではないか、というお話もありますが、それはできません。相続の放棄は、相続人が相続が発生したことを知った日から、3か月以内に行うものであり、相続発生前の段階で、相続の放棄を行う制度は存在しません。
(遺留分の計算)(民1042、1043①、1046②)
遺留分とは、次の表にあるように一定の相続人のために相続に際して法律上取得することが保証されている財産の一定割合のことです。
遺留分侵害額請求ができる相続人 | 遺留分の総額 |
配偶者と直系卑属 配偶者と直系尊属 配偶者と兄弟姉妹の場合の配偶者 直系卑属のみ 配偶者のみ | 被相続人の財産の1/2 |
直系尊属のみ | 被相続人の財産の1/3 |