木村克己税理士事務所 相続税10万円~ 資産評価に自信あり Zoom等面談可


相続時精算課税制度の適用要件やその計算について解りやすく、かつ正確な資料も添えて説明してください。【最新令和5年度税制改正・最新法改正に基づく回答】


(回答です。)

適用要件について

対象者:

贈与者(財産をあげる人)……60歳以上の父母又は祖父母など

受贈者(財産をもらう人)……18歳以上で、かつ贈与者の直系卑属(子や孫など)である推定相続人

なお、年齢の判定をする基準日は贈与をする年の1月1日です。

必要な手続き:

最初に相続時精算課税を選択適用する贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に、税務署へ「相続時精算課税選択届出書」を一定の書類※1とともに、贈与税の申告書に添付して提出する必要があります。

なお、令和6年1月1日以降の贈与については贈与財産が110万円以下の場合は、贈与税の申告書自体の提出は不要です。

(※1)相続時精算課税選択届出書の添付書類(相法21の9➁、相令5➁、相規11、措規23の5の6~23の5の8、平成27年改正規附則2➁) 
受贈者が直系卑属である推定相続人又は孫の場合  受贈者や特定贈与者の戸籍の謄本又は抄本その他の書類で、次の内容を証する書類 ➀受贈者の氏名、生年月日 ➁受贈者が贈与者の推定相続人又は孫であること
受贈者が上記以外で、贈与税の納税猶予、免除制度の適用を受ける後継者の場合  受贈者の氏名及び生年月日を証する書類。 後継者(受贈者)が贈与者からの贈与により納税猶予・免除制度の対象となる株式の取得をしたことを証する書類

その他:

相続時精算課税制度の選択は、贈与者毎にすることができます。

但し、この制度を選択するとその後は、その贈与者からの贈与について、暦年課税制度を選択することはできません。

相続時精算課税の計算:

1 贈与税(相法21の10~13、措法70の3の2、措令40の5の2)

相続時精算課税の選択年以後、相続時精算課税に係る贈与者(特定贈与者)ごとに、1年間に贈与を与えた財産の価額の合計額を基に贈与税額を計算する。

贈与税の額=(贈与財産の価額の合計額ー基礎控除額110万円※2ー特別控除額2,500万円※3)×20%

(※2)基礎控除額110万円  特定贈与者が複数いる年については、110万円は次の算式により按分した金額
 110万円 × 分母のうち、各特定贈与者ごとの贈与財産の価額の合計額 / その年分の贈与税の課税価格に算入された、相続時精算課税の適用を受ける財産の価額の合計額
(※3)前年以前に既にこの特別控除額を控除している場合は、その残額

2 相続税(相法21の14~17)

(1)特定贈与者が死亡した場合

特定贈与者が死亡した場合には、その相続時精算課税を選択した受贈者に係る相続税額は、その贈与者からそれまでに贈与を受けた相続時精算課税の適用を受ける贈与財産の価額(贈与時の価額)※4と相続や遺贈により取得した財産の価額とを合計した金額を基に計算した相続税額から、既に納めた相続時精算課税に係る贈与税額相当額を控除して算出する(相続税額よりも相続時精算課税に係る贈与税額相当額の方が多かった場合には、相続税の申告をすることにより還付を受けることもできる)。

(※4)令和6年1月1日以後の贈与については、基礎控除の額を控除した残額。

(2)特定贈与者の死亡以前に相続時精算課税適用者(受贈者)が死亡した場合

➀ 特定贈与者である相続人(包括受遺者を含む。)

その相続人は、受遺者が有していた相続時精算課税の規定の適用を受けていたことに伴う納税者に係る権利・義務を承継しない。

➁ 上記➀以外の相続人

その相続人は、原則として、受贈者が有していた相続時精算課税の規定の適用を受けていたことに伴う納税に係る権利・義務を承継する(特定贈与者の死亡時に、精算を行う)(措法70の7⑬九、70の7の5⑩)。


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