木村克己税理士事務所 相続税10万円~ 資産評価に自信あり Zoom等面談可


税理士ドットコムの「みんなの税務相談」(木村税理士回答5)


(質問します。)

相続時精算課税制度を過去に適用した後の、暦年贈与の基礎控除について

過去に母から生前贈与を受け、相続時精算課税制度で申告しました。
まだ、母は存命ではあるものの、過去の相続時精算課税制度の選択によって、以降の母からの暦年贈与基礎控除110万円は使えなくなっている理解であっていますか?

例:
2010年:母から金銭・不動産を相続し、当時に相続時精算課税制度を使って申告
2017年:母から110万円以下の現金の贈与 ←この時は控除とならず贈与税対象となる

(回答します。)

こんにちは

相続時精算課税と暦年課税の選択と適用関係の件ですね。相続時精算課税の贈与を一旦選択すると、その後暦年課税の贈与にすることはできません。それと2024年1月1日以降の贈与から相続時精算課税制度には法改正がありましたので、それも含めてご説明いたします。

ご自身の例ですと、2010年(平成22年)に相続時精算課税制度を選択した贈与税の申告納付がありましたので、その後2017年(平成29年)の贈与の際には必然的に相続時精算課税の贈与となりました。

なお、この時の相続時精算課税制度には基礎控除がありませんでしたので、すべて相続時の精算課税の対象となります。

その後2024年(令和6年)の1月1日以降の贈与では、相続時精算課税制度にも暦年課税制度に類似した基礎控除が創設されましたので、この時以降は基礎控除額(受贈者毎に110万円まで)と特別控除額(贈与者毎に2500万円までで複数年に渡り使用可。)の控除額を超えた部分に対して20%の税率が掛かります。

(結論です。)お母さまからの2010年の贈与において相続時精算課税制度が選択済みですので、それ以降の暦年課税制度による110万円の基礎控除は使うことはできません。おっしゃるとおりです。それゆえに、2017年の相続時精算課税による贈与の際には110万円未満の贈与であっても申告が必要だったわけです。

但し、2024年1月1日以降の相続時精算課税の贈与からは基礎控除が創設されていますので、これからは相続時精算課税制度における基礎控除が利用できます。

その後の(相談者)からの質問

詳細にご説明ありがとうございます。
・2024年1月までの分については暦年贈与の基礎控除110万円は使えない
・2024年1月以降についても、過去の相続時精算課税制度を使用した場合ですから、110万円の基礎控除を併用することはできないので私の場合、母との間がらであると使えないままという理解であっていますか?

その後の(木村税理士)からの回答

おせわになっております。少しわかりづらい話ですね。
2010年に選択済みの相続時精算課税の選択後は、暦年贈与には決して戻れないのですが、それとは別に、2024年1月1日以降の贈与(選択時期がそれ以前であっても、贈与が2024年1月1日以降であれば該当)なので、あなたの場合も110万円の基礎控除は適用になります。また、相続時精算課税における基礎控除110万円については、暦年課税の基礎控除110万円とは異なり、相続税の計算に持ち戻す必要もなくなりました。生前対策として利用者が増えるように改正されたものと思われます。


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