木村克己税理士事務所 相続税10万円~ 資産評価に自信あり Zoom等面談可


相続税を減らすために、夫婦間の生前贈与をして財産を分散させた方がいいと詳しい方から聞きました。具体的な方法を教えてください。【最新令和5年度税制・最新法改正に基づく】


(答えです。)相続税は超過累進課税(財産が多いほど税率が高くなる仕組み)ですので、子に財産を移転する前に、夫婦で財産を分散することで、相続税率が下がるので相続税の計算上有利になることがあります。

また、夫婦間の居住用不動産の贈与については要件を満たせば「贈与税の配偶者控除」の適用ができますので、一定額までは非課税で有利に移転が可能です。

以下、贈与税の配偶者控除について見ていきましょう。

贈与税の配偶者控除とは、配偶者の老後の生活保障等を考慮して設けられた制度で、配偶者につき、その婚姻中に一度だけ利用する場合に限り、居住用不動産やその購入資金を贈与すると、2,000万円まで非課税になるものです。

(計算式)

(贈与財産価額-2,000万円-110万円)×税率=贈与税額 ※基礎控除(110万円)も適用になります。

◆適用要件

贈与者入籍してから20年以上経っている配偶者であること
贈与財産居住用不動産又は居住用不動産を取得するための金銭
居住要件贈与を受けた翌年の3月15日までに居住の用に供し、その後も住み続けること
手続贈与の年の翌年2月1日から3月15日までに一定の事項を記載した申告書を住所地を所轄する税務署長に提出すること
適用除外同一の配偶者からの贈与につき、すでにこの規定の適用を受けている場合には適用できません。

次に、店舗兼住宅(賃貸アパート兼住宅)の居住用部分の計算をみてみましょう

居住用不動産についての考え方

居住用不動産のなかでも、店舗兼住宅(賃貸アパート兼住宅)の取扱いについては以下のとおりです。

◆原則的取扱い

居住の用に供している家屋のうち、居住の用以外の用に供されている部分のある家屋及び当該家屋の敷地の用に供されている土地等(以下「店舗兼住宅等」といいます。)に係る居住の用に供している部分は、次により判定します。

なお、居住の用に供している部分が全体の9/10以上である場合には、全部が贈与税の配偶者控除の対象となる居住用不動産に該当するものとして差支えありません。

(1)当該家屋のうち、その居住の用に供している部分は、次の算式により計算した面積に相当する部分となります。

当該家屋のうちその居住の用に専ら供している部分の床面積(A)+当該家屋のうちその居住の用と居住の用以外の用とに併用されている部分の床面積(B)×A /(当該家屋の床面積-B)

(2)当該土地等のうちその居住の用に供している部分は、次の算式により計算した面積に相当する部分となります。

当該土地等のうちその居住の用に専ら供している部分の面積+当該土地等のうちその居住の用と居住の用以外の用とに併用されている部分の面積 ×当該家屋の面積のうち(1)の算式により計算した面積 /当該家屋の床面積

◆特例的取扱い

(1)但し、その贈与を受けた持ち分の割合が、原則的取扱いにより求めた当該店舗兼住宅等の居住の用に供している部分の割合以下である場合において、「その贈与を受けた持分の割合に対応する当該店舗兼住宅等の部分を居住用不動産に該当するものとして申告があったとき」は、これを認めるものとされています。

(2)また、「贈与を受けた持分の割合が店舗兼住宅等の居住の用に供している部分の割合を超える場合における居住の用に供している部分についても同様」とされています。

(これはどういうことなのか、具体例を使って説明をします。)

特例的取扱いについての具体例です。

(1)店舗兼住宅の居住用割合>配偶者への持分贈与割合

店舗兼住宅の居住用割合:40%

(店舗と住宅の合計が100%の割合)

配偶者への持分贈与割合:30%

(夫婦それぞれの合計が100%の割合)

この場合は、30%(持分贈与割合)が居住用不動産にあたるものとして贈与税の配偶者控除の適用を受けることができます。

40%×30%=12%よりも高い比率で特例が適用できることがミソになります。間違いやすいところです。

(2)店舗兼住宅の居住用割合<配偶者への持分贈与割合

店舗兼住宅の居住用割合:40%

(店舗と住宅の合計が100%の割合)

配偶者への持分贈与割合:60%

(夫婦それぞれの合計が100%の割合)

店舗兼住宅の居住用割合である40%が、贈与税の配偶者控除の適用の対象となります。

40%×60%=24%よりも高い比率で特例が適用できるところがミソです。間違い易いところです。注意しましょう。


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