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令和5年度税制改正における対応(贈与時期の確認)【最新令和5年度税制改正・最新法改正に基づく回答】


(質問します。)

相続財産に加算される贈与財産については、相続開始前3年以内から7年以内に延長されることになり、100万円の控除(暦年課税で、相続開始前3年以内の贈与財産以外)もできたことから、贈与の時期がこれまでよりも一層重要になるものと思われますが、贈与の時期を厳密に規定している法的根拠はどこにあるのですか。

(お答えします。)

民法の規定、相続税基本通達の規定でお答えします。
相続税基本通達は法令ではありませんが、税務上は大切な規定であり税務職員はこれを基準にしていますので解説の対象にします。

なお、贈与契約書の重要性はより一層高くなっております。(暦年贈与では相続開始前7年以内の記録を保管する必要がありますが、保管管理を適切に行うことは難しいところです。このため贈与契約書を作成することは、今後は一層重要性が高まると考えられます。)。

1民法の規定

民法の関連規定は以下のとおりです。

(贈与)

第549条 贈与は、当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾することによって、その効力を生ずる。

(書面によらない贈与の解除)

第550条 書面によらない贈与は、各当事者が解除することができる。ただし、履行の終わった部分については、この限りではない。

※贈与とは贈与者から受贈者に対して無償で財産的出捐を目的とする諾成契約(当事者の合意だけで成立する契約)であると考えられます。

2 相続税法基本通達の規定

相続税法基本通達における関連規定は以下のとおりです。

(財産取得時期の原則)

1の3・1の4共ー8 相続若しくは遺贈又は贈与による、財産取得の時期は、次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次によるものとする。

(1)省略

(2)贈与の場合 書面によるものについてはその契約の効力が発生した時、書面によらないものについてはその履行のとき

上記の通達は民法第550条を基本としているものと考えられます。そのため民法上は、贈与は当事者の意思表示と受諾にて効力が生じますが、相続税法基本通達では書面によらない贈与についてもっと踏み込んだ規定となっています。書面によらない贈与は、その履行の時(預金の贈与であれば、印鑑通帳の引渡しの時)が贈与の時となります。

これは、贈与済み財産であるのか、名義借財産(相続財産となるもの。)かの判定でも重要になるものです。


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