木村克己税理士事務所&KimuraPartner

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相続税を少なくするにはどのように生前贈与すればいいのか教えてください。以前、誰かに聞いたときは意味不明でした。


(答えです)次世代への財産の移転だと思って、生前贈与しても、相続税の加算対象になるようであれば、相続税は変わりません。相続税の加算対象にならない贈与であれば相続税が少なくなります。

相続税の加算対象には、ならない贈与って何かな?

贈与税の2つの制度「暦年課税制度」と「相続時精算課税制度」とでは、それぞれ相続税の加算対象となる贈与が異なるので、どちらを選択したらいいか、シミュレーションするか、その都度検討するのです。

相続税に加算される生前贈与の期間というのは何かな?

暦年課税制度と相続時精算課税制度における、令和6年1月1日以降の贈与についての加算期間と対象金額は、以下のとおりです。【令和6年1月1日以降分の贈与について考えます。】

◆暦年課税制度

相続開始前7年以内の贈与金額の全額

(但し、相続開始前4年から7年以内の贈与については、その総額から100万円を控除)

◆相続時精算課税制度

相続時精算課税の贈与について、基礎控除(110万円を控除)を超える贈与金額

なんだか難しいよ!具体的な計算例で説明して⁉

◆ケース1 2,000万円を、毎年200万円ずつ、相続まで10年間続けて贈与する場合の比較をしてみます。

①暦年課税制度の場合

200万円×3年+(200万円×4年-100万円)=1,300万円が相続税への加算対象となります。

②相続時精算課税制度の場合

(200万円-110万円)×10年=900万円が相続税への加算対象となります。

③結論

ケース1では、暦年課税制度のほうが加算対象金額が多くなるので、このケースのように相続発生までの期間が比較的短く、かつ、比較的少額な贈与であれば、相続時精算課税制度を利用したほうが良いということになります。

面白いね!ケース2も何か考えてください⁉

◆ケース2 1億円を、毎年400万円ずつ、相続まで25年間続けて贈与する場合の比較をしてみます。

①暦年課税制度の場合

400万円×3年+(400万円×4年-100万円)=2,700万円が相続税への加算対象となります。

②相続時精算課税制度の場合

(400万円-110万円)×20年=5,800万円が相続税への加算対象となります。

③結論

ケース2では、相続時精算課税制度のほうが相続税への加算対象金額が多くなるので、暦年課税制度を利用して贈与すべきケースであると考えられます。つまり、相続発生までの期間が比較的長く、かつ、比較的高額な贈与であれば、暦年課税制度を利用したほうが、相続税への加算対象額を減らすことができるのです。

もっと言っちゃっていいかな。

(ありがとう。頼みます。)

暦年課税制度の贈与をできるだけ長期で行ったうえで、贈与者が高齢者になった時点で、相続人への贈与について、相続時精算課税制度に切り替えるのが、いいかもね。あくまでも計算上の話だけどね。

(いいねえ、よくわかりました。)

もっと言っちゃうと、さらに計算上の話だけど、各年齢毎に平均余命というのが示されているのを知っているかな? 平均余命を用いて、あるいは自分の判断でそれよりも少し少ないとか、多いとかを自分で考慮して、相続時精算課税制度への切り替え時期を判断すると、合理性はもっと高まるね。

あくまで、とことん突き詰めた計算上の話だけどね。なお、生前対策は2~3年に一度ぐらいの頻度で見直すと、より一層精度が上がるものなんだよね。(但し、相続時精算課税制度は一度選ぶと、変更はできませんのでご注意を)

(はい)


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