（質問します。）

父の相続にあたり、Aは相続を放棄することにしました。但し、これまでに相続時精算課税の適用を受けて2,000万円の贈与を受け取っています。相続税の計算はどのようになるのでしょうか。

（お答えします。）

Aさんが父からの贈与を受け取って、贈与税申告をする際に、相続時精算課税の選択をしている贈与財産については、父からの相続税の計算上、相続財産として計上することになります。相続を放棄した場合でも同様です。

（解説します。）

民法第939条で、「相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす」とされていますが、相続税法上においては、相続人である者が相続放棄しても、推定相続人の地位に基づいて贈与を受け相続時精算課税の適用をすでに受けていることから、これらの贈与により取得した財産は相続による取得したものとみなして課税されます（相法21の16）。

これは、相続時精算課税の適用を選択した者が、相続放棄をすることで相続税の負担を故意に免れることを避けるためと考えられます。